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執筆者の写真VOICE OF ART

塩谷亮先生から質問へのご回答「美しき写実絵画が生まれるまで」

更新日:2023年2月6日

2023年1月12日に開催しました、ホキ美術館協賛企画、「美しき写実絵画が生まれるまで」では、100名近い方々にご参加いただき、心より御礼申しげます。

講師の塩谷亮先生のお話に登場した情報へのリンク、質疑応答を掲載しました。

※別途ご参加者に送信した動画の視聴期限は、2023年2月末です。


(1)動画に登場した画家について紹介します。

皆さんへのメッセージ

いずれも有名な画家です。ぜひ機会があれば鑑賞してみてください。






(2)皆様からの質問へお答えします。


①モチーフによって、オイル使い分けしてますか? 一つの作品内で、モチーフが違うものによって、乾性油等の使い分けはありますか?


A:モチーフや部分によって乾性油の種類や使用量を大きく変更するということはありませんが、質感表現にフィットするように意識的に使い分けることは多少あります。例えば滑らかで暈かしをしたい部分には乾燥の遅く筆跡が出にくいスタンドオイルを使用したり、ざらっとした質感や豚筆の筆跡を意図的に強く出す場合は生のリンシードオイルに変更したりします。いずれにしましても、油絵の構造上、部分によってオイルの含有量にばらつきがあることは避けたいですし、乾性油の使い分けよりも筆の種類や筆さばき、筆圧でコントロールすることのほうが多いです。


②塩谷先生の10年後20年後の夢や目標を教えてください。


A:おおよそのヴィジョンはありますが、いま自分が想像しうる画家像の範疇を超えていたいですね。そのためにはこれまでの仕事の延長ではなく、想定外のチャレンジをしていくことで次のステージが見えてくるのではないかと思っています。


③作品制作、たいへんお時間かかるとお聞きしましたが、素人のモデルさんには、どのくらいきてもらってるのでしょうか。


A:モデルさんの事情にもよりますが、最初と制作中盤の計2~3回くらいが多いです。モデルが家族なら苦労はありません。制作中は主にモデルさんを撮影した写真を利用します。ただし写真の摸写になっては意味がないので、長年ものを見て描く訓練をしてきた経験から、写真の情報を3Dに置き換えて人の存在感とそのまわりの空間を表していきます。それは写真には写っていないものです。


④モデル選びはどのような観点からされいますか?


A:講演中にも少し話しましたが、基本的にプロのモデルではなく、一般の方。以前は家族ばかり描いていましたが、近年は新たなモデルを探していますがなかなか出会えず苦慮しています。柔らかく芯の強い雰囲気をもった方を描きたいと思っています。


⑤大学を卒業されてから公募展などに多く出品しつつも落選続きで、というお話でしたが、今、塩谷先生が審査されてるK絵画コンクール等、審査する側にたたれて、作品の審査基準や何を持って判断するか、というのはどういったものでしょうか?


A:最近いくつかのコンクールや美大の卒業制作などで審査させていただく機会がありますが、それぞれ求められているものが違うので、審査基準は一概には言えません。本来、絵に評価や序列を付けることは好きではなく、応募作を相対的に見て、賞は難しいけれど良い絵というものが少なからあるので、そのような作品を応援したいと思っています。


⑥私は、支持体にジェッソを塗ってますが、インプリミトゥーラのオイルの配合を白亜地と同じにすると艶が引きません。どんな配合が良いですか?


A:インプリミトゥーラは有色にする目的のほかに、地塗りの吸収度を調整する役割があります。白亜地は地塗りの中で最も吸収性が強いため、それを抑えるためにややオイル分の強いインプリミトゥーラ溶液の配合になっています。アクリルのジェッソは吸収性がほとんどないので、同じ配合のものを塗るとテカテカになってしまいます。


光沢のある下地は上から乗せた絵具の食い付きが悪く、亀裂、剥離などの恐れがあるため注意してください。油性キャンバスも吸収性がないので、昔の技法書ではテレピンだけで溶いた絵具で有色地としていました。ですからアクリルジェッソの場合も同様、テレピンだけか、アクリル絵具を水で薄めてインプリミトゥーラするほうが良いでしょう。



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■ホキ美術館について

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美術館内のレストラン「はなう」もおすすめです。


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■塩谷亮先生について

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Official Oil Paintings' Site

新作、個展の案内はこちらでご覧いただけます。


塩谷先生の作品に興味を持たれた方は新作著書にお話しされた内容の詳細が掲載されています。

「塩谷亮の写実絵画教本」


主催:VOICE OF ART 実行委員会


長谷川等伯「松林図屏風」

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